スタッフコラム|町田市鶴川・川崎市麻生区の産婦人科|鶴川台ウィメンズクリニック|駐車場完備

  • 〒195-0061 東京都町田市鶴川2-14-11
  • Tel. 042-737-1103

妊娠初診 予約受付専用ダイヤル Tel. 070-3360-4103

MENU

スタッフコラム

Staff Column

院長寄稿「心身症と心療内科について思うこと」

Pocket

心療内科とは、主に心身症を治療する科のことです。
心身症とは、心の葛藤やストレス、不安感などに起因して病状が大きく左右される病気のことです。

産婦人科における心身症

実は産婦人科には、心身症に該当する疾患が多数認められます。 女性の中には、きっと何となくそう感じられる方もいらっしゃると思います。

例えば、以下の疾患は心身症と考えられています。

  • 更年期症候群
  • 月経不順・月経困難症・月経前症候群(PMS)
  • 性機能不全
  • 切迫早産
  • 妊娠悪阻(重症のつわり)
  • マタニティブルー(産後うつ)
  • 摂食障害(拒食症・過食症)
  • 神経性食欲不振症

これらの病気は、どれも精神的なストレスが大きくかかわっているという点で、心療内科的疾患と言えるでしょう。
その治療に際して最も大切なことは、患者様の身体的主訴のみならず、心理的及び社会的なストレスや葛藤を丁寧におたずねし、じっくりとお話を伺い、病気を引き起こしている本当の原因を見つけ出すことです。そして、その悩みをどうやって軽快していくべきか話し合う「カウンセリング」が診断と治療の第一段階なのです。
この過程を重視することにより、患者様との信頼関係が生まれ、はじめて治療が功を奏するのです。

心身症は単独では存在し得ない病気

それでは、産婦人科以外で心身症に該当する疾患を見ていきましょう。

全科にわたる心身症

循環器系 高血圧症・不整脈(動悸)・狭心症・起立性低血圧 等
呼吸器系 気管支喘息・過換気症候群 等
消化器系 胃潰瘍・十二指腸潰瘍・潰瘍性大腸炎・過敏性腸症候群・神経性胃炎・心因性嘔吐 等
泌尿器系 過活動膀胱・勃起不全・夜尿症 等
内分泌系 甲状腺機能亢進症・脂質異常症・糖尿病 等
神経系 自律神経失調症・片頭痛・緊張性頭痛・慢性疼痛・めまい症 等
膠原病 慢性関節リウマチ・SLE 等
整形外科 腰痛・肩こり 等
耳鼻咽喉科 耳鳴り・難聴・めまい症・アレルギー性鼻炎・花粉症
眼科 心因性視力障害・眼瞼ミオキミア 等
歯科 顎関節症(食いしばり)・心因性口腔内疼痛 等
皮膚科 アトピー性皮膚炎・蕁麻疹・円形脱毛症 等
精神科 摂食障害・睡眠障害 等

このように、内科や産婦人科を筆頭にほぼ全て全科にわたって認められる心身症に対して、私はそれぞれの科の先生方も自らその治療に参画すべきであると考えます。

心療内科という名前

心療内科というネーミングもふさわしくありません。心身診療科とでも言うべきか、あるいは内科に限らず全科に関連しているわけですから、心療全科と言った方がふさわしい気がします。

心身症は単独で存在しえる病気ではありません。精神的なストレスはありとあらゆる症状となって発現するため、全科を上げて取り組むべき疾患であることを、医師も患者様も認識すべきであると声を大にして申し上げたいと思います。

「病気」という言葉のごとく、病は「気」(心)からなのです。

安易に「心療内科」の扉をたたく前に

心身症が疑われる患者様に、正しい初期治療やカウンセリングをせずに、安易に向精神薬(脳に作用して精神に影響を与えるお薬)を処方することも問題を深刻にしています。
薬が増えれば思わぬ副作用で病状が悪化してしまったり、薬に依存してしまい、止める時のリバウンドで大いに苦しむケースも少なからずあるからです。

患者の皆様へ

メンタルヘルス等の言葉が社会に浸透し、精神科(心療内科)への受診がかつてほど抵抗がなくなりました。とは言え、患者様においては症状がオーバーラップするからといって安易に精神科を受診したり、向精神薬の処方を求めたりせず、まずは体の不調と向き合い器質異常の可能性も認識していただきたいと思います。

先生方へ

各科の先生方には、精神的な原因が疑われる場合も心療内科を薦める前に患者様がなぜ自分の診療科を訪れたのかを考察し、できる限り真摯に取り組んでいただきたいと思います。たとえ時間がかかっても、心に寄り添った治療ができれば多くの場合病状は改善されます。
カウンセリングの他に、漢方療法やアロマテラピーなども非常に有効です。

終わりに

場当たり的な対症療法は、火災の炎にむかってただやみくもに放水しているようなものです。火元がくすぶり続けていれば完全に消火することはできないのです。
ただし、精神神経科の疾患が疑われる時には、精神科に早々に紹介すべきであることは言うまでもありません。

 

カテゴリー

最近の投稿

月別アーカイブ