漢方医学の考え方
西洋医学との違い
従来のいわゆる西洋医学療法は、検査で病気の原因(病原菌や機能不全を起こしている器官)を特定し、成分の決まった純粋な薬物でピンポイントに治療するものです。感染症や高血圧、糖尿病などの治療を得意としています。それに対して漢方は、体や心、さらには気候や環境などの外的要因も含めて症状を大局的に捉え、全体のバランスを調整して調和のとれた状態に近づけていくものです。
枯れた木を見つけて腐らないうちに取り除く(西洋医学)ことも大切ですが、そもそもなぜ木が枯れてしまったのかを考え、森全体の土を改良していこうとするのが漢方医学のアプローチと言えるでしょう。とは言え、どちらも患者様を元気にするという目標は同じですから適材適所で使い分けていくのが望ましいです。
漢方が得意とするところ
たとえば、更年期障害のように体のいろいろな所にさまざまな症状が出現しているような場合、一つ一つ別々に対応していると、薬の量が多くなったり薬どうしが作用して思わぬ結果を招いたり、さらにはある薬の副作用を抑えるために別の薬を追加したりと、あたかもモグラたたきのような状態になってしまうことがあります。
このような問題の解決を得意とするのが漢方薬です。更年期のみならず、ホルモンの増減で体調が乱れやすい女性にとって、心身全体のバランスを整えるというアプローチは非常に相性の良い方法です。
漢方薬は、植物や鉱物など自然界にある生薬を、多くの場合複数組み合わせて作られます。その配合は先人達の何千年にも渡る経験と英知の結集であり、処方として確立されています。体質を基準に配合された漢方薬は複数の症状を1種類の処方で補えることもあり、薬代の節約にもなるのです。即効性という点では劣る場合もありますが、続けることで徐々に体質が改善され、風邪をひきにくくなる、アレルギー症状がなくなる等、目的以外にも予期せぬ効果が表れるのも漢方の魅力です。