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スタッフコラム

Staff Column

withコロナの妊婦ライフ:COVID-19について判ったこと

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少しずつ、明るい兆しが見えて来た新型コロナウイルス(COVID-19)との戦いですが、まだまだ気をゆるめるわけにはまいりません。
新型コロナウイルスの妊娠や赤ちゃんに対するリスクについてはまだ多くが不明ですが、少しずつ分かってきたことをまとめました。

新型コロナウィルスの妊娠と赤ちゃんへのリスク

参考・引用元:If You Are Pregnant, Breastfeeding, or Caring for Young Children (CDC)

感染しやすさ・重症化について

COVID-19に関して知り得た事項から、私達は妊婦さんであろうとなかろうと、COVID-19に感染するリスクに変わりはないと考えています。
しかしながらまだ不明な点は多く、妊婦さんがCOVID-19に似た(例えばインフルエンザのような)ウィルスに感染した場合、重症化しやすいということは知られています。

重症化しやすい理由のひとつに、妊娠中は免疫が働きにくくなっている(免疫寛容状態)ことが上げられます。免疫とは体内に入って来た自分でないものを排除する働きのことです。胎盤で隔てられているとはいえ、自分でない「赤ちゃん」を攻撃してしまわないように制御しているのです。
また、私達の肺には普段は使っていない予備能力があるのですが、子宮が大きくなって横隔膜が持ち上げられた妊婦さんは、その予備部分が20%ほど小さくなるため、肺炎などを起こすと余裕が無いだけに重症化しやすくなるのです。

しかしながら、今までに妊娠が理由で新型コロナウィルス感染症が重症化した例は報告されていません。日本産婦人科学会によれば、妊娠中の重症化率はむしろが低い値が報告されているとのことなので、特に心配する必要はないでしょう。

母子感染について

COVID-19の母子感染はほとんどありません。しかし、母親を含む他の感染者との濃厚接触により赤ちゃんが感染することはあります。
生後間もなく検査で陽性が確認された少数の例が一部で報告されましたが、それらの赤ちゃんが妊娠中に感染したものか、出生後に感染したものなのかは判っていません。

感染した母親から障害を持つ赤ちゃん(先天奇形など)が産まれたという報告は現在のところありません。他の呼吸器系ウイルス感染症でも同様なので、この点に関してはほとんど心配する必要は無さそうです。

出産のリスクについて

妊娠後期にCOVID-19への感染が確認された妊婦さんにおいて、予定日前の出産などが数例報告されましたが、それがウイルスに起因するものなのかは判っていません。

いまのところ、新型コロナウイルス感染によると断定された流産、早産、死産の報告もありません。

ここまで、CDC:アメリカ疾病予防管理センターのガイドラインを参考に見てまいりましたが、COVID-19に関してはまだまだ分からないことだらけ、ということだけは分かったという感じでしょうか。

妊婦中の過ごし方について

これからは、コロナウイルスという厄介な隣人がいる、ということを前提に生活を組み立てて行かなくてはならないのかもしれません。
むやみに恐れたり、偏った情報ばかりを選んでつまみ食いしているうちに、ストレスで具合が悪くなっしまっては本末転倒もいいところです。正しい知識を身につけて気持ちに余裕がある方が、無駄な動きやリスクも減って予防もしっかりできるというものです。

何はともあれ感染しないのが一番です

3密を避け、良く手を洗うこと、換気や消毒を怠らないことです。これらについては、最早耳にタコができているとは思いますが、これ以外の対処法はまだありません。実践するのみです。
あとは十分な睡眠とバランスの良い食事、ストレスコントロールで、大切な日に備えて体調をしっかりと整えることが重要です。

妊婦健診は欠かさず受診しましょう

医療機関へ行くことは制限されていないとは言え、人との接触を避けるためについつい足が遠のいてしまいがち。
しかし妊婦健診は大切です。なるべく決められたスケジュールに従って受診してください。オンライン診療を始めているお医者さんもいらっしゃいますから、それを利用するのも良いでしょう。
やむを得ず受診を延期する場合には、体重(可能であれば血圧も)測定をして、記録しておいてください。

ストレスは上手にコントロールしましょう

たとえば、出社を余儀なくされてる家族がいる場合は感染のリスクが心配でストレスがたまります。一方、テレワークや休校で家族全員が閉じ込められているような状況も相当なストレスです。 ようやく緊急事態だけは解除になりましたが、今度はどの程度元に戻したらよいのか、そのさじ加減で悩みます。周り中ストレスだらけです。
「病は気から」と言うようにストレスは万病の元です。気分が落ち込む時は、天気の良い日にゆっくりと歩いて健診にお越しください。不安な胸の内やたまった不満をお話いだだくだけでも、きっと気持ちが軽くなることでしょう。

万一、妊婦中に感染してしまったら

まずは電話で相談しましょう

発熱などの症状がある場合はかかりつけの産婦人科に電話で相談し、感染している可能性がある場合は直ちに帰国者・接触者相談センターにご相談ください。 感染を広げないためにも、自己判断で複数の医療機関を受診するようなことは決してしないでください。

治療する上で注意しなくてはならないこと

治療するにあたっては、妊娠中、または妊娠の可能性があることを医師にしっかりと伝えることが大切です。
現時点でコロナウイルス感染症の特効薬はありません。今後、様々な薬が承認されて治療に使用されることが考えられますが、副作用についても注意が必要です。例えば、候補の一つである抗ウイルス薬の「アビガン」には胎児死亡や催奇形性の可能性があるため、妊婦さんには使用できません。
症状を確認するために必要なレントゲンやCTスキャン検査は受けてください。通常、妊婦さんは放射線を使った医療機器を避けるべきとされていますが安全性は十分に確認されています。感染症の治療と重症化させないことが最優先です。

感染した妊婦さんの出産について

PCR検査で感染が確認された妊婦さんは、感染予防対策が取られた受け入れ可能な施設での出産となります。里帰り出産はできません。
妊婦さんの体力や赤ちゃんの状態によっては帝王切開になる場合もありますが、その判断は主治医が行います。面会や立ち会い分娩に加え授乳も一定期間できなくなります。

抗体検査とワクチンについて

患者さまからのご要望もあり、来月から当院でも新型コロナウイルス抗体検査を実施することになりました。
しかし、現時点での新型コロナウイルス抗体検査は「過去に感染したことがあるか」しか判りません。抗体があっても、それが免疫として十分なものなのか、免疫があったとしてもどのくらいの期間持続するのかなどまだ判っていないからです。これに関しましては検査開始時期に合わせてコラムで詳しくご説明する予定です。

また、現在様々なワクチンが開発されていますが、種類によっては妊婦さんには接種できないこともあるので、見極めが必要です。

一日でも早く、コロナ・クライシスが収束し、妊婦の皆様が安心して出産できる日が来ますように。

補足:正確な情報を得られるところのリンク

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
日本産婦人科学会:COVID-19関連情報

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