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スタッフコラム

Staff Column

緊急特集・風疹について知っておいてほしいこと

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風疹が流行の兆しを見せています。千葉や東京など関東地方の30代から40代の男性を中心に感染者が増えているそうです。
免疫の無い妊婦さんにとって脅威となる風疹のことを、妊婦さん以外の方にも知っていただきたく、基礎情報をまとめました。予防接種の機会にしても抗体検査の結果にしても、年代や自治体でばらつきがあって分かりにくくなっていることも、風疹への理解を妨げているように思います。この機会にどうぞご一読ください。

風疹とはどんな病気?

風疹の原因

風疹ウイルスに感染することで起こる病気です。
患者さんの咳やくしゃみで飛び散った細かい水滴の中にいるウイルスを吸い込むことで感染する飛沫感染です。飛沫は水分を含んで重いので、だいたい患者さんの1〜2m以内にいた場合に感染はおこります。空気感染のようにウイルスが空中を長時間漂うことはありません。ですから、空気感染の代表である麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)ほど感染力は強くありません。

風疹の症状

感染してから2週間ほどで症状が表れ、5日間程度下記の症状が続きます。

体のだるさと発熱
ポツポツとした赤い発疹
耳や首の後ろのリンパ節の腫れ
ただし、症状だけで風疹と断定することは難しく、抗体検査をしてはじめて確定となります。
子供の方が軽く、大人がかかると発熱や発疹がやや長引く傾向があります。一度感染し治癒すると大部分の人は終生免疫を獲得するので二度と風疹にかかることはありません。

感染力のある期間は?

発疹の出た時点を挟んで前後2週間くらいが感染力があると考えられています。
ただし気をつけたいのは、ウイルスに感染しても症状が出ない人(不顕性感染)が15%程度いるということです。症状は無くてもちゃんと免疫ができますが、それは知らぬ間に人に感染させる可能性もあるということです。

風疹が恐れられる理由

妊娠初期の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群 (CRS)になる可能性があるからです。

先天性風疹症候群 (CRS)とは?

妊娠初期の妊婦さんが風疹にかかると、お腹の赤ちゃんも風疹ウイルスに感染することがあります。妊婦さんに風疹の症状が出なくても(不顕性感染)赤ちゃんには感染する可能性があります。
感染した赤ちゃんは、難聴、心疾患、白内障、その他心身の発達障がいをもって生まれる可能性があります。これらの障がいを先天性風疹症候群 (CRS)といいます。これらの障がいは単独で表れることもあれば複数の場合もあり、程度も様々ですので、総称として先天性風疹症候群 (CRS)と呼んでいるのです。

妊婦さんは免疫があるか確認してください

妊娠前に予防接種をしたり子供のころ風疹にかかったりして、抗体検査でちゃんと免疫があると診断された妊婦さんは心配する必要はありません。
妊婦健診の初期血液検査には風疹の抗体検査も含まれています。すでに検査を終わっている方は、母子手帳等で確認してください。抗体価の測定にはいくつかの方法があります。ご自身の受けた測定法と単位を確認して判断してください。

測定法(単位) 抗体がない 低抗体価 適正
HI法(倍) 8未満 8, 16 32〜128
LA法(mlU/mL) 8〜15 16〜31 32以上
IgG(EIA価) (-)2.0未満 (±)2.0〜3.9 (+)4.0以上

*LA法やEIA価は、どの検査キットを使用したかでも微妙に異なります。検査を受けた病院で確認してください。

妊婦さんへの予防接種はできません

風疹のワクチンは生ワクチンのため、妊婦さんに接種することはできません。
免疫のない妊婦さんと抗体価の低い妊婦さんはくれぐれも感染しないように注意してください。ご家族に未接種・未罹患の方がおられる場合は、直ちに接種してください。

風疹が流行していたら、妊娠12週未満の方は人ごみの多い場所への外出は厳禁です。それ以降も少なくとも24週くらいまでは気をつけてください。そして次回の妊娠に備えるためにも、出産後には予防接種を必ず受けてください。

先天性風疹症候群を発症する可能性

妊娠の早い時期ほど先天性風疹症候群 (CRS)を発症する確率は高くなります。妊娠1ヶ月で50%以上、2カ月で35%、3カ月で18%、4カ月で8%程度と言われています。

厚生労働省のポスターでも「妊娠1ヶ月で50%」という数値が大きく扱われていますが、妊娠1ヶ月とは次の生理が来る予定日頃のことなので、まだ妊娠に気がついていない方も多くいらっしゃいますし、化学流産(妊娠5〜6週)となることも多いです。一方、20週目以降に風疹にかかった場合は、障がいが残ることはほぼありません。

妊婦さんが風疹にかかったかもしれないときは

まずはかかりつけの医師に電話で相談してください。他の妊婦さんへの感染の危険があるので、産婦人科へ直接足を運ぶのは絶対にやめてください。
もし風疹と診断された場合でも、医師によく相談してご自身の健診の結果や先天性風疹症候群の可能性を説明してもらい、十分に理解した上であわてずに対応することが大切です。

風疹ワクチン接種について

風疹ワクチンとは

発病させる力を弱くした(弱毒化)ウイルスを培養して増やし、凍結乾燥させた生ワクチンと呼ばれる種類のワクチンです。感染とは違いほとんど症状はでませんが、弱くてもウイルスは生きているので、病気などで免疫力の弱い人や妊婦さんに接種することはできません。

ワクチン接種が必要な人は?

年代によって指針がコロコロ変わったため接種を受けたかどうかは非常に分かりにくくなっています。三種混合ワクチン(MMR)を接種している人もいます。

  • 1962年4月1日以前生まれ(不要)
    定期接種はありませんでしたが、大半の人が自然感染で免疫を獲得しています。
  • 1962年4月2日~1979年4月1日以前生まれ(男性は要抗体検査)
    男性は定期接種はありません。女性は中学生の時に1回、集団接種を受けています。
  • 1979年4月2日~1987年10月1日生まれ(抗体検査推奨)
    男女とも中学生の時に1回、個別接種*を受けることになっていましたが、接種率は高くありません。
  • 1987年10月2日~1990年4月1日生まれ(抗体検査推奨)
    男女とも幼児期に1回、個別接種を受けることになっています。
  • 1990年4月2日以降生まれ(不要)
    男女とも2回、個別接種を受けることになっています。

*個別接種とは任意の医療機関(かかりつけのお医者さんなど)に行って予防接種を受ける方法のこと。集団接種と異なり、接種率は低くなる傾向があります。

風疹の予防接種は1回受けただけでは十分な免疫を得られない場合もあります。上記の接種が必要な方に該当していなくても、罹患したかどうか不明であったり、接種回数が定かでなく免疫が十分であるかわからない場合は、抗体検査を受けることをおすすめします。抗体の有る無しに関わらずワクチン接種は可能です。

30代〜50代の男性の皆様へ

今、流行の中心となっているのは、働き盛りで毎日バスや電車を利用してる30代〜50代の男性です。

ちょっと想像してみてください。

ここ2、3日何となく体がだるいなとは思いつつ、あなたは今日も満員電車に揺られて通勤しています。ドアが空いた時、吹き込んだ風に鼻がムズムズして思わずくしゃみが出てしまいました。側でスマホをいじっていた若い女性が嫌な顔をしてこっちを見たので、かるく頭を下げ、気まずさをごまかそうと自分もスマホに目を落とします。

会社にいる間もちっともだるさが治らず、微熱も出てきました。家に帰って鏡を見ると、なんだか顔から首にかけて赤くてポツポツしたものが出ているではありませんか。「そうか、会社で隣のヤツが風疹だっていって休んでたな。あいつにうつされたのか!」

腹を立てているうちに今朝の女性のことを思い出しました。そういえば、チラッと見えたスマホの画面には「プレママ」がどうとかこうとか…。

もし、彼女が初期の妊婦さんだったら、そして風疹の免疫がなかったらあなたの不用意なくしゃみのせいで風疹に感染してしまったかもしれません。それが待ちに待ってやっと授かった命だったら?
ひょっとすると流産してしまうかもしれないし、障がいを持っていることを覚悟で出産するかどうか、重い選択を迫られるかもしれません。あなたが風疹の予防接種をうけていなかったばっかりに。

「まあ、いいや。今しんどいのはオレなんだし、他人のことなんか気にしてもしょうがない。嫌な想像は止めにしてさっさと寝てしまおう…。」

こんなヤツにはなりたくありませんよね。いえ、なっていただきたくありません。

自分には直接関係がないなどと思わず、将来のこどもたちを先天性風疹症候群から守るためにも、今、できるだけ限り早く風疹の予防接種をうけてください。お願いいたします。

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