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Staff Column

徹底解説!子宮頸がん2・いざ検診、内診台は怖くない

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他のがん検診に比べて受診率が伸び悩む子宮頸がん検診ですが、たまに来るお知らせハガキ程度の薄っぺらい情報では受診の必要性が伝わらないのも仕方ありません。

そして、受診のハードルの高さを上げているのが、あの内診台。
恐怖イスとか屈辱チェアなどと呼ばれていつも槍玉に挙げられていますよね。そりゃ、廃墟になった病院に50年前の朽ち果てた内診台があったらさすがに(別の意味で)怖いですけれど、実際の検査はあっという間で怖がっている暇なんてありませんよ。

案ずるより産むが易しと申しますが、それでも気になるあなたのために、今回は子宮頸がん検診の目的や内容の一部始終、コスパを考えた検診の選び方まで詳しくお伝えします。

受診の心得 —検査のその前に—

子宮頸がん検診の目的

子宮頸がん検診は、名前にがんと付いてはいますが、実際は異形成と呼ばれるがんの芽をみつけて摘み取るのが目的ですから、がん予防検診と言うこともできます。

子宮口付近の細胞を採取して顕微鏡で調べるこの方法は、発案者のパパニコロウ医師にちなんでパップテスト(Papanikolaou Testの略)と呼ばれています。
また、発端となる高リスク型のHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染しているかどうかを同時に調べることで、がんになるリスクをより正確に把握することができます。
早期発見だけでなく、予防+リスクコントロールが子宮頸がん検診の大きな目的なのです。

定期的に検診を受けていればいきなり進行した子宮頸がんが見つかることはほとんどありません。逆に自覚症状が出てからではかなり進行している可能性もありますし、頸がん以外の病気も考えられます。定期検診ではなくただちに診療を受けてください。

検診を受けていただきたいのはどんな人?

建前としては子宮を持つ全ての女性に受けていただきたいです。

年齢は、HPVに初感染してから(ほとんどの方は初体験とほぼ同時に感染)5年程度たった頃に最初の検診をうける

のが望ましいでしょう。2年以内だと一過性の感染からの回復中で擬陽性になる可能性があるからです。当然HPV検査も陽性であることが多く、持続感染の危険性が曖昧になってしまいます。
30代〜70代はできればHPV検査も併用しながら定期検診を継続するのが理想です。

まだ性体験がない方はHPVに感染しているリスクは非常に低いですが、内診やエコーは他の病気も見つけることができるので無駄ということはありません。

以下のような方は比較的リスクが高いと考えられますので積極的に受診してください。

・タバコを吸っている(有為に高いというデータが数多くあります)
・免疫不全である(HIV感染、膠原病、アレルギー)
・出産を多く経験している

子宮頸がん検診のよくあるご質問

以下に定番の質問をまとめましたのでご一読ください。

Q:生理中でも検診を受けられますか?
A:生理中は血液が混入して標本が不適正になることがあるので避けていただいた方が無難です。生理が終わってから排卵が起きるまでの1週間が検査に最適な時期です。不正出血があったり、出血が長引くような場合は検診ではなくただちに診療を受けてください。

Q:どのような服装で受診すればよいですか?
A:内診台には下着を脱いでから上がっていただきます。高級人間ドックなら専用の検査着に着替えますが、当院のような小規模のクリニックは下着を取るだけで服装はそのままの場合が多いです。

Q:子宮頸がんの予防接種を受けたので検診は不要ではないのですか?
A:予防接種は確実に効果がありますが、全ての高リスク型HPVに対応している訳ではありません。ワクチンがターゲットにしている以外のHPVには感染するリスクがありますので、定期検診は受けておきましょう。

実況!子宮頸がん検診

待合室にて

お待ちいただいている間に問診票等にご記入いただきます。市の検診の場合は専用の受診票があるので(重複する部分もありお手数ですが)そちらにもご記入ください。
婦人科の問診票には、月経周期・妊娠・出産に関する質問項目がありますので曖昧にならないようメモしておくと良いでしょう。それに加えて当院では、免疫に関わる病歴や喫煙歴、子宮頸癌のワクチン接種を受けたかやセクシャルデビュー(初体験)の年齢などもお尋ねしています。

ここからは、時間の目安(見出しの数字)とともにご説明します。単位はもちろん「分」です。

00:00 – 05:00|問診

診察室では、ご記入いただいた問診票を確認して気になることがあれば直接お伺いします。
問診票に書ききれなかったり他にも気になる症状があれば、それが子宮頸がんに関係があるかわからないくてもぜひ伝えましょう。せっかく内診やエコー検査を受けるのですから、子宮や卵巣に異常があればしっかり見つけてもらわなくては意味がありません。

診察室から処置室(検査室)に移動し、下着を脱いで内診台に上がります。内診台も最近はカラフルでおしゃれなものが多く、美容室にあるシャンプーチェアに開脚機能が付いたものといったところです。(実はメーカーも同じだったり)足を支える部分がフィットするように腰かけてお待ちください。こちらで操作するのであとは自動で動きます。
医師との間はカーテンで仕切られますが、これは日本特有らしいです。それが逆に不安だったり、しっかり対面で医師にいろいろ質問したいなどご希望があればどんどん言っちゃいましょう。

05:00 – 06:00|視診

いよいよ内診台が動きます。
まず、膣内や子宮口を見やすくするためにクスコ式膣鏡(クスコ)とよばれる器具を装着します。カモノハシの口のような独特な形をしており、挿入してから少しずつ広げていきます。金属製なのでそのまま使うと冷たくて患者さんを驚かせてしまいますから当院では保温器に入れて人肌温度に暖めてから使用しています。サイズも色々ありますので、痛みを感じるようであれば遠慮なくおっしゃってください。

この段階で、病気が進行していると思われる場合や、炎症がひどく他の感染症なども疑われる場合は、細胞診を行わず検査内容や処置を変更することがあります。

06:00 – 07:00|細胞診(検体採取)

子宮口を中心とした付近の膣部と頸部を綿棒やブラシで軽くこすり、はがれ落ちた細胞を採取します。クスコを装着する前に内診を行う場合もありますが、当院では内診などで擦れてしまう前に検体採取を行っています。
これは強引に削り取るわけではなく、垢としてはがれ落ちる細胞をキャッチするものなので痛みはありません。そもそも膣の中は鈍感で、表皮に針を刺した時のような鋭い痛みは感じないのです。

採取する部分の状態は性周期や年齢などで様々なので、それに合わせて綿棒・ブラシ・サイトピックなどを使い分けます。どれも婦人科細胞診専用で色々工夫が凝らされており、綿棒も耳に使おうものなら反対側に飛び出しそうなほど柄が長いです。

従来方式の場合は採取した細胞をその場でスライドグラスに塗布し、固定液をしっかりスプレーして検査機関に送ります。液状化検体細胞診(LBC)の場合は専用の柔らかブラシで採取してから液体にすすぎ落とし、専用の容器でラボに送ります。この液状の検体はそのままHPV検査にも利用できます。

Check!:液状化検体細胞診(LBC)

海外では主流となっている方法ですが、日本で採用している医療機関はまだ2割程度です。(当院では本年より導入を決定)
専用の機器でスライド標本を作成することで(人の手によるミスやばらつきをなくす)不適正標本を減らし、結果的に検査の精度が向上します。細胞診とHPV検査が同じ検体からできるのも利点です。

検体の採取が終わったらクスコは外します。

07:00 – 08:00|内診

次は内診と呼ばれる婦人科ならではの触診です。
片手指は膣内、もう片方の手はお腹の外側から挟み込むように押しながら、文字通り手探りで子宮・卵巣の形状や位置を確認していきます。お腹の上からムギュっと押しますので、事前にお手洗いには行っておいてください。

Check!:力を抜いてリラックス

筆者も初めて検診を受けたときには緊張し、なけなしの(?)腹筋を必死に使って抵抗したために痛みを感じましたが、幸いにして早々に力尽き、その後は「なんかモニョモニョ押されてる?」程度でほとんど不快感はありませんでした。こんなことなら最初から脱力していればよかったと後悔した記憶があります。読者の皆様は失敗しないでくださいね。

08:00 – 10:00|エコー(超音波)検査

最後はエコー検査です。プローブという、先端が親指ほどの器具を挿入して超音波をあて、その反響をリアルタイムの画像で確認します。
内診やエコー検査は頸がんだけでなく、子宮筋腫や卵巣腫瘍なども見つけるチャンスです。先ほどの内診で何かしらの手応えがあった場合は、経膣エコーだけでなく経腹(お腹の上から)エコーも併用してしっかり調べます。

10:00 – 15:00|所見と説明

お疲れ様でした。内診台を降りて着衣を整え診察室にお戻りください。

当日の内診とエコーで判ったことをお伝えいたします。子宮膣部・頸部の炎症や、子宮筋腫や卵巣腫瘍が見つかった場合なども症状をご説明いたします。
細胞診とHPV検査(同時検査を実施した場合)の結果が出るまでには1〜2週間程度かかりますので、次回の結果説明のご予約を入れていただき、検診は終了です。

以上のように、特に異常が認められなければ内診台の上にいる時間は正味5分ほどであっという間です。もちろんこれは当院の検診の様子ですので、医療機関によって多少異なる場合があることはご了承ください。

子宮頸がん検診の費用と選び方

自由診療はそれなりに高額

さて、内容が分かって一安心すると今度は費用のことが気になるものです。
症状がなく自主的に受ける健康診断というのは結構高額です。先ほど実況した子宮頸がん検診はフルコースですが、細胞診を液状化検体細胞診(LBC)で行い、同じ検体で同時にHPV検査も受け、さらに超音波検査も追加すると15,000円(自由診療:当院価格)になります。内訳は下記の通りです。
*価格は消費税別になります。

問診・視診・内診+細胞診 従来法:5,000円
LBC:5,500円
HPV検査(核酸検出) 4,000円
超音波(エコー)検査 5,500円

自治体や保険組合から補助が出るのは細胞診だけであることがほとんどで、町田市の場合自己負担額は1,000円で、2年に1度(2019年度より)受診できます。
細胞診だけでもいいのですが、せっかく内診台に上がるのですから最低でもエコー検査はうけていただきたいと思います。

HPV同時検査をお薦めする理由

子宮頸がん発症のきっかけがHPVであると判っているのに、なぜHPVに感染しているかを調べないのでしょうか?
リスクを正確に判断するためには細胞診とHPV検査の併用が望ましいといわれ、関連学会からも積極的に行うよう推奨されています。米国ではHPV検査のみでもOKという指針があるほどなのに、日本では定期検診にHPV検査を導入しているところはほとんどありません。

子宮頸がんワクチン接種が頓挫してしまっている現在、HPV検査の重要性は海外よりむしろ日本の方にあると言えるでしょう。

Check!:血液検査ではわからないHPV感染

B型肝炎やヘルペスなどは、血液中の抗原と抗体の両方を調べることにより、ウイルスに感染しているか、今までに感染したことがあるか、現在炎症をおこしている(活動中)か、などが分かります。しかしHPVは血液に侵入しないので血液中に抗体が作られにくく、血液検査で調べることができないのです。内診台に上がり、細胞診と同じように検体を採取しなくてはなりません。

重視するのは費用、時間、それとも確実性?

コスト重視なら、方法や内容にはこだわらず自治体などが提供する補助のある検診を受診するのがベストですが、従来の細胞診のみでは見落としの危険性や最悪の場合不適正標本で採取のやり直しもあることを理解しておく必要があります。(もちろん受診しないよりははるかにメリットはあります。)
擬陽性でHPV検査が必要になった場合は、改めて内診台に上がり検体採取をすることになります。保険診療になるとは言え、検査とは別の医療機関に行けばなんだかんだで3,000〜5,000円はかかるでしょう。
異常無しなら問題ありませんが、費用にこだわりすぎたために、後々時間と心身の負担が増えるのはいただけません。

精度を求めるなら、最初から液状化検体細胞診(LBC)で細胞とHPVの同時検診を行うのが良いでしょう。どちらも陰性だった場合、次の検診は2〜3年後(海外では5年後でもよいというデータもあります)で大丈夫という確実な安心を得ることができます。
仮に細胞診で疑われた場合もHPV検査と合わせてリスクを判断することができるので、曖昧なまま次の検査を待つよりも精神衛生上も良いかもしれません。
また、LBCでは疑わしい結果が出た時だけ(保険診療に切り替えて)HPV検査を実施することも可能です。同じ検体から検査ができて再び内診台に上がる必要が無いのは、何より嬉しいところです。
コスパも精度も優秀なLBCですが、採用している医療機関はまだ少なく、自治体などの補助の対象になっていないのが悩みどころです。

結果的におすすめの方法は

検診の方法やメニューが選べてなおかつ補助も出るというのが理想ですが、そこらへんは “大人の事情” でなかなか難しいようです。最終的にはご自身で選択していただくしかありません。
初めての検診では奮発してフルコースを選んでおき、異常がなかったらその後は補助のある2年毎検診を受けておくなど組み合わせるのも一つの方法です。

当院では独自に市の検診でもLBCやHPV検査が選択できるようにしておりますので、町田市の方はこちらのお知らせも合わせてご覧ください。

次回予告:検査結果をしっかり理解する

次回は検査結果の解説です。暗号のような判定結果を意味のわかる日本語で説明していきます。残念ながら要精密検査となった場合、どのような検査をしどのような治療をするのかも詳しくお伝えする予定です。

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