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徹底解説!子宮頸がん3・検査結果をしっかり理解する

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子宮頸がん検診を受診して検査結果を受け取ったといたします。もしも精密検査が必要だ、などど書かれていたら心穏やかじゃいられませんよね。

極端な話「異常なし」ではなかったというだけで、命の危険があるのではないかと勘違いされてパニックになってしまわれる方もいらっしゃいます。こういう例は、検査の内容や結果を丁寧に説明しなかった私ども医療機関の落ち度です。しかし、検診を受けた病院や自治体によって表記がまちまちだったりと、結果通知の仕方それ自体にも少々問題があるようです。

今回は子宮頸がん検診に「ひっかかった」せいで悶々とされている方はもとより、異常なしだった方にもご一読いただきたい、子宮頸がん検診結果の解説です。

細胞診は何を調べているのでしょう?

はじめに細胞診そのものについて説明します。何を調べてどういう理由でその診断になったかを知れば、八割方理解できたようなものですから。

子宮頸癌の細胞診は子宮頸部をブラシや綿棒でこすりとったものをスライドガラスに塗って標本を作り、顕微鏡で観察する検査です。多くの場合、採取した先生とは別の細胞検査の専門家が診断します。

はがれ落ちてバラバラになった細胞1つ1つを眺めて、おかしな形をしたものがないかを調べ、それがどのくらいの頻度で見つかるかを総合的に判断して元の組織の状態を推測するものにすぎません。言ってみればサンプリングテストのようなものです。

検査はだいたい以下のように進められます。

1.この標本(スライド)は検査に適しているか

例えば、ひからびた細胞がわずかにくっついているようなスライドではそもそも検査出来ません。不適正検体として報告が戻ってくるので採取からやり直しです。医療機関の不手際で不適正になり、また内診台に上がるなんて検査される方はたまりませんよね。LBC(液状細胞診)であれば不適正がグンと減るそうなので、心配な方はLBCを選びましょう。

2.標本の中にどんな種類の細胞が見られるか

それは、細胞診の父パパニコロウ博士(イラスト参照)が編み出したパパニコロウ染色のおかげで、場所や種類によって細胞が色分けされるからなのです。上のイラストのように実際もカラフルできれいなんですよ。ほかにも血球や細菌などが混じっていることもあります。しかし、余計なものが見えすぎると肝心の細胞が見えないので、それはそれで困ります。

3.その中におかしな形をした怪しい細胞はないか

探すのは、やたらと活発に分裂してる細胞です。そういうものは大抵、核が大きく濃い色に染まって形もいびつになっています。怪しい細胞がどの程度見られるかで診断が下されます。

現在の細胞診はかなりの優れものとは言っても、結果がでるまでには検査を受けた方の年齢や体調、採取の方法や技術、標本の作り方や管理、診断士の経験や力量など非常に多くの要因が影響します。細胞診だけで100%間違い無しというこはありえません。あくまでスクリーニング(ふるい分け)なのです。

そして何より重要なのは、細胞診だけではHPV(Human Papilloma Virus:ヒトパピローマウイルス)に感染しているかどうかを断定できないということです。

結果表記とベセスダシステムのお話

検査会社から戻ってくる結果は、NILM, ASC-USなどの英文字で表記されています。
このよくわからない英文字の正体はベセスダシステム(Bethesda System)による分類表記です。正式名「ベセスダシステム準拠子宮頸部細胞診報告様式」と申します(正式名は今すぐ忘れていいです)。

ちょっと舌を噛みそうな「ベセスダ」とはアメリカ・メリーランド州の地名で、アメリカ国立がん研究所があります。それまでカオス状態だった子宮頸がん検診の精度をあげるべく、偉い人たちがそこに集って解決策を相談し、それで決まったのがベセスダシステムなんです。

もちろん英文字だけでは判らないので、お手元の結果報告には「精密検査を受けましょう」とか「HPVに感染しているか調べましょう」などと言葉が添えられていると思いますが(思いたいですが)、そうでない場合に備えて一覧を掲載しておきます。

ベセスダ分類一覧

・NILM
英語:negative for intraepithelial lesion or malignancy
読み:ニルム
和訳:非腫瘍性病変
意味:傷ついた上皮細胞や悪い兆候は見られません。
・ASC-US
英語:atypical squamous cells of undetermined significance
読み:アスカスまたはアスク・ユーエス
和訳:意義不明な異型扁平上皮細胞
意味:普通のものとは違う扁平上皮細胞がありますが、それが何を意味しているのかはわかりません。
・ASC-H
英語:atypical squamous cells, cannot exclude HSIL
読み:アスク・ハイ
和訳:HSILを除外できない異型扁平上皮細胞
意味:普通のものとは違う扁平上皮細胞があります。HSILかもしれません。
・LSIL
英語:low-grade squamous intraepithelial lesion
読み:ロー・シル
和訳:軽度扁平上皮内病変
意味:上皮内に(HPVに感染したことによって)傷ついた細胞がありますが、程度は軽く一過性のものと思われます。
・HSIL
英語:high-grade squamous intraepithelial lesion
読み:ハイ・シル
和訳:高度扁平上皮内病変
意味:上皮内に(HPVに感染したことによって)傷ついた細胞があります。重症で初期のがんの可能性もあります。
・SCC
英語:squamous cells carcinoma
読み:エス・シー・シー
和訳:扁平上皮癌
意味:扁平上皮細胞が、がんになっています。上皮内に留まらず浸潤している可能性があります。
・AGC
英語:atypical glandular cells
読み:エー・ジー・シー
和訳:異型腺細胞
意味:普通のものとは違う腺細胞があります。
・AIS
英語:adenocarcinoma in situ
読み:エー・アイ・エス
和訳:上皮内腺癌
意味:上皮内の腺細胞が、初期のがんになっています。
・Adenocarcinoma
読み:アディノカーシノーマ
和訳:腺癌
意味:腺細胞が、がんになっています。上皮内に留まらず浸潤している可能性があります。
・Other malign.
英語:other malignant neoplasmus
和訳:その他の悪性腫瘍
意味:上記のどれにもあてはまらない悪性細胞があります。

Check! 腺細胞系の診断がでたら要注意

子宮頸がんにも2種類あるのはシリーズ1回目で説明しましたが、扁平上皮がんと異なり、腺がんは経過や予後が予測しにくい傾向があります。
検査結果にAGCやAISなどの表記があったら、できるだけ速やかに精密検査を受けてください。経過観察も子宮頸がんを専門とする先生にお願いした方がよいでしょう。

長々と用語説明をしましたが、ここではとりあえず定期検診結果の「疑いあり:ASC-US」の所見と、即治療が必要な子宮頸がんが疑われる所見がどれほど遠くかけ離れているかを確認して安心していただければそれでOKです。もし本当に深刻な状態であれば自覚症状も現れますし、内診の段階でとっくに判明していますから。

ASC-USというよく分からない判定

俗にいう「ひっかかった」状態とはこのASC-USがほとんどです。
意義不明な異型扁平上皮細胞があるということなんですが、要は、おかしな形の細胞があるけれど、それが子宮頸がんになる危険性があるものかどうかはスライド標本からは判らない、ということです。

では、どういう時に細胞の形がおかしくなるのかを見て行きながら、子宮頸がん検診で一番のもやもやポイント「ASC-US」を探ってみることにいたしましょう。

細胞がおかしな形になる様々な理由

細胞の形をおかしくする原因の一つに炎症があります。結果がASC-US場合、所見に炎症という言葉がほぼ100%含まれているといっても良いでしょう。

そもそも炎症とは、私たちの細胞が自分自身の体を守ろうとして奮闘努力している状態のことです。
外から入って来たウイルスや細菌と戦うのはもちろんのこと、傷やヤケドなどで壊れた組織を大急ぎで修復するため、せっせと細胞を入れ換えているときも炎症は起こります。細胞分裂が盛んになれば、分裂途中で核が大きくなって変形した細胞も多く見られるようになるわけですが、これは正常な細胞の働きで、がんとは無関係です。

子宮頸がん検診で別のものが見つかることも

細菌やウィルスに感染すると、免疫細胞がやってきて侵入者に戦いを挑みます。
そんな時に検査をすると、顕微鏡下の検体は戦場の様相を呈しており、侵入者と交戦中の白血球や、両者の残骸、それを掃除する細胞までが入り混じっていて判定が難しくなります。

たまには細菌そのものがチラ見えしていて、結果にしっかりと「クラミジア+」なんて書かれていることもありますが、これはあくまでも子宮頸がん検診がきっかけで性感染症が見つかったということで子宮頸がんとは直接関係ありません。

このようなケースまでひっくるめて「子宮頸がん検診でひっかかった」などと言うものだから、話がややこしくなり子宮頸がんのイメージも悪くなってしまうのかもしれませんね。
もちろん、繰り返し炎症を起こして年がら年中大急ぎで細胞分裂していると変な方向(遺伝子の突然変異)に行っちゃう可能性は否定しませんが。

年齢や性周期でも状態はいろいろ

一方、更年期以降になりますと、今度はホルモンの不足で炎症がおこります。これを萎縮性膣炎と言います。この状態で検査を受けると不適正標本になる可能性がとても高いので、まずは女性ホルモン(エストロゲン)を補充するなどして症状を改善しなくてはなりません。

性周期のホルモン状態によっても、採取できる細胞に偏りが生じ、標本の質に影響します。
検査技師さんたちは、単純に細胞をみるだけでなく、年齢や体調なども考慮しつつ判断を下さなくてはなりません。大変ですよね。

何はともあれ、結果がASC-USで炎症があると診断された場合、まずは原因を調べてそれを直すことが先決です。子宮頸がん検診はそれが解決してからにしないとまた同じような結果になってしまいます。

Check! HPV感染の手がかり:コイロサイトーシス

細胞を見るだけではHPVへの感染はわからないのでしょうか?
HPVは自覚症状が出るほどの激しい炎症を起こすことはありませんが、感染した細胞に見られる特有の現象が存在します。
コイロサイトーシス(koilocytosis)という現象で、核の中でウイルスが作られるために細胞の核の周りに大きな穴が空いているように見えるのです。これが見つかれば、HPV感染はほぼ間違いないと判断できるのです。
このような場合はASC-USではなく、LSILと診断される場合が多いです。

結局、精密検査が必要かはHPV感染で決まります

子宮頸がん検診における各結果の割合と、その後の検査をまとめたのが下の図です。
見て分かるとおり、俗にいう「子宮頸がん検診にひっかかる確率」は100人に4人程度と決して高いものではありませんし、精密検査が必要な方はそのうちの6〜7割です。

*数値参考:公益財団法人ちば県民保健予防財団・調査研究ジャーナル2017.6「子宮頸がん集団検診における併用検診の有効性」

ASC-USのその後

細胞診だけでASC-USと診断された方のうち、HPV検査によって約半数は精密検査の必要はないと判断されます。ベセスダ分類において異常な細胞とはHPVが関与しているもの限定なのです。極端な話、HPV陰性なら炎症がどんなにひどくてもNILM(異常なし)なのです。

炎症がひどい場合は、収まったころもう一度細胞診を実施します。その結果でもやはり異型の細胞が見つかり、さらに高リスク型のHPVに感染していることが判明して初めて、精密検査(コルポスコープ診・狙い組織診)を実施することになるのです。

ASC-USでもHPVに感染していなければ次の集団検診まで間を空けてもかまいませんが、欲を言えば1年以内にもう一度細胞診を受けるのが理想です。もちろんその他の感染症があればしっかり治療しなくてはならないのは言うまでもありません。

LSIL以上であれば精密検査は確定となり、その後も定期的な経過観察が必要になりますが、これに関しては次回詳しくご説明します。

NILM(異常なし)でもHPV感染はあり得ます

お気づきと思いますが、細胞診がNILMでもHPVに感染している可能性はあります。高リスク型HPVに感染しているかの検査は、会社や自治体の健診には含まれず自費検診になることが多いため、最初から同時に検査する方はほとんどいらっしゃいませんが、細胞診では異常無しでもHPV陽性の方が100人中2〜3人はいらっしゃるのです。

HPV陽性ということは、ウイルスがそれなりに活発に増殖しているということなので、たまたま採取した細胞に異常がなかっただけで密かに異形成(ウイルスによるイボ)ができている可能性もあります。
直ちに精密検査をする必要はありませんが、次回の検診まで2〜3年も間を空けてしまうのはおすすめできません。健康診断がなくても自主的に1年以内に検診を受けてください。

細胞診とHPV検査を併用した検診を

このように、健康診断で子宮頸がんの危険性を正しく判断するには、HPV検査が欠かせないということはご理解いただけたのではないかと思います。
次回は、子宮頸がん精密検査(コルポスコープ診・狙い組織診)とはどのようなことをするのか、経過観察を受診する上で知っておきたいことなどをご紹介します。

 

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