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スタッフコラム

Staff Column

女性ホルモン検査でわかること4・更年期と閉経

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閉経が近づくにつれ、体と心におもりをつけられたような違和感とともに「アレ」は突然襲ってきます。頭はクラクラ、脇汗ダラダラ、こんなにヘロヘロなのに眠れない。ひょっとして、とてつもない病気になってしまったのではないかという不安が頭をよぎります。
仕事は思うようにはかどらず、気持ちにも余裕がなくなって思わず声を荒げてしまったり。会社の同僚や部下、果てはパートナーにまで疎ましがられているように感じ、今度は何も手に着かなくなるほど落ち込んでしまう。心も体も全くのアウト・オブ・コントロール状態。

もしあなたが40歳も半ばを過ぎているなら(そうは思いたくないかもしれませんが)おそらくそれ「更年期」です。今回は、この女性に人生のターニング・ポイントを告げる雷鳴「更年期」についてじっくりお伝えします。

更年期の体調の変化を感じたらまずは調べる

HPの更年期について記載しておりますので、そちらのページを参照ください。

また、宜しければ更年期指数(SMI)チェックもお試しください。

更年期について詳しくはこちら

更年期指数(SMI)が50点以上ならば(1つでも強い症状があれば)医療機関を受診することをおすすめします。更年期以外の原因が潜んでいることもあるので、安易な自己判断は危険です。

更年期のホルモン数値

更年期障害が疑われたらいよいよ血液検査です。他の疾患を見落とさないために、女性ホルモンだけでなく血球算定や代謝系、甲状腺機能なども同時に調べるのが良いでしょう。 女性のライフステージと検査の指標となるホルモンレベル(平均値)は下図のように変化することがわかっています。
エストロゲン(E2)の分泌が減少し、それとは反対にゴナドトロピン(FSH, LH)の上昇が見られれば、卵巣機能が低下していると判断します。

数値に関しては個人差が大きく、閉経前であれば性周期の変動も考慮しなくてはならないため、基準値を厳密に決めることはできません。更年期障害は分泌量そのものよりも急激な変化やギャップの大きさが影響している場合が多く、一度のホルモン検査で把握・分析できることは限られます。
正確に変化を捉えるためには、35歳ぐらいから自分のホルモン数値を把握しておくのが望ましいでしょう。下記にだいたいの目安を示しておきます。

項目(単位) 更年期 閉経後
FSH(mlU/mL) 目安40以上 〜160
LH(mlU/mL) 増加傾向 〜70
E2(pg/mL) 減少傾向 〜10
P4(ng/mL) 減少傾向 〜0.6

 

更年期に現れてくる様々な症状

原因は1つ症状は千差万別

根本原因は、卵巣が全ての卵子を送り出して役目を終え、女性ホルモン(E2, P4)を作らなくなったから。それだけです。
ところがその症状たるや十人十色どころか万人万色です。列挙していったらキリがありませんが、日本女性の場合、頭痛・肩こり・倦怠感・ホットフラッシュ(Hot flush)・腰痛が比較的多く見られます。

様々な症状を分類してみると、大きく3種類に分けられます。(タイトル下の図も参照)

  • 自律神経系(血管運動神経系)
    自律神経系の代表はなんと言っても、のぼせ・ほてり・発汗が突如として起きるホットフラッシュです。 自律神経とは無意識に働く神経で、呼吸・血液循環・消化・体温調節・内分泌・生殖のような私たちが生きて行くのに無くてはならない機能を制御してくれています。失調を来せば体にはありとあらゆる不調が表れてきます。
  • 精神神経系
    精神神経系の代表は、怒りの導火線が非常に短くなる「易怒性(いどせい)」とそのリバウンドとも言える落ち込みや不安です。(周囲の方が先に根を上げて相談に来られる場合も!)自分の感情がコントロールできなくなるのは非常に辛いものですが、これにも自律神経は深く関わっています。
  • その他の症状
    体の痛みなどの運動器系や食欲不振などの消化器系の症状がよく見られます。これらも自律神経系の失調から派生する場合が多いですが、中にはエストロゲン不足が直接関係しているものもあります。

更年期障害≒自律神経失調症

閉経前後に起きる更年期障害を一言で言うなら、ルモンバランスの乱れが引き起こす自律神経失調症です。これにストレスや環境要因、免疫系などが複雑に絡み合って多彩な症状と個人差を生み出す心身症の側面も持ち合わせています。

エストロゲン(E2)の低下は、中性脂肪の増加や骨量の低下などの原因となることも知られていますが、これらは閉経後に比較的ゆっくりと現れてくるもので、ホルモンバランスの変化というよりもエストロゲンが慢性的に不足し、その良い効果が得られなくなったために生じるものです。これについては次回詳しく説明いたします。

とりあえずはこの著しく生活の質を落とす自律神経系や、人間関係にヒビをいれそうな精神神経系の症状を退治するのが先決ですが、なぜ卵巣で起きたホルモンの欠乏が神経系の症状を引き起こすのか、その仕組みを理解していただきましょう。

更年期の代名詞、ホットフラッシュの真実

ホルモンはあちこちで勝手に分泌されているわけではありません。ホルモンのコントロールセンターである間脳の視床下部がホルモンがちゃんと分泌されているかを血中濃度で把握し、その内容に応じて指示をしているのです。
詳しくは「女性ホルモンの基礎知識・仕組みと種類」をお読みください。

迷惑なパワハラ上司「視床下部」長

更年期に入ると、ホルモン工場の卵巣では原料の卵子が減り操業ペースがどんどん落ちていきます。全く目標に達していない生産量のレポートを見て、視床下部は秘書室である脳下垂体に卵巣にむけてもっとエストロゲン(E2)を作るようにメッセージを送れと命じます。このメッセージに相当するのがFSH(卵胞刺激ホルモン)です。
しかし原料再入荷のめどの全くない卵巣でエストロゲンを増産するのは無理な相談というもの。生産低下に怒る視床下部は朝から晩まで怒鳴り続けるようになり、脳下垂体はFSHの大量分泌に大忙しになってしまいます。

同じ上司を持つ「自律神経」

困ったことにこの視床下部長、かなり偉い地位にありまして下に多くの直属の「課」を従えています。性ホルモンの他に甲状腺・成長・副腎皮質ホルモンなども管理していますが、最も重要なのが自律神経の調節です。
トップのご機嫌が悪いことに加えて性ホルモン管理課は酷使され過剰労働状態。視床下部全体に不穏な空気が流れ出します。すぐ隣から漏れ聞こえる怒号に驚かされ自律神経調整課はついついミスをおかし、皮膚の温度を下げる必要も無いのに大量に汗を出す指示を送ってしまったり、心臓のピッチを上げてしまったりするのです。これがホットフラッシュが起きる仕組みです。

パニックは隣の扁桃体にまで飛び火

怒りや恐れなどの人間の本能的な感情を司っているのは大脳辺縁系の扁桃体という部分です。この場所がまた視床下部にとても近い。壁一枚隔てたすぐ隣の部屋くらいの感じです。視床下部には感情に関わる脳内のホルモン作用を助けたりお隣の扁桃体が興奮した時にオキシトシンを出してなだめる役割もありますが、それも往々にしてほっぽらかしになります。こうなると脳という本社全体がギスギスしてきます。更年期に様々な精神神経系の症状が出るのにはこういう理由もあったのです。

迷惑上司を黙らせる秘策:HRT(ホルモン補充療法)

この融通の利かない部長さん、管理職としてどうなの?思いますが、実はこの上司、結果が全てで過程にはこだわらない主義らしいのでそこに狙い目があります。アウトソーシングしちゃいましょう。そう、これがHRT(ホルモン補充療法)です。作れないホルモンを外から補給して脳をだます作戦です。
HRTは自律神経系の症状には即効性があります。これらが改善されるだけで、QOL(生活の質)は相当向上します。重度の肝障害や乳がん・子宮内膜がんなどエストロゲンを投与するリスクがとても高い場合(HRT禁忌といいます)を除いては、HRTが更年期障害治療のファーストチョイスとなります。

オーダーメイド治療で更年期を乗り切る

更年期だから仕方ないなんてウソ

更年期は全ての女性に必ず訪れます。閉経と人生の終わりがほぼ一緒だった時代は問題にならなかったけれど、寿命が延びたことで顕在化した、卵巣寿命と人としての寿命のギャップが生み出した病気と言えるでしょう。中には何の自覚症状もなく更年期を乗り切るかたもいらっしゃいますし、いずれは収束するものです。
しかしQOL(生活の質)が下がるようなら「更年期だから仕方ない」などど思わずに積極的に治療すべきです。我慢してもいいことは一つもありません。

更年期は保険で治療できます

更年期の症状を緩和する治療は、ほぼ全てが健康保険の対象です。

  • HRT(ホルモン補充療法):保険診療
    女性ホルモン(エストロゲン単体またはエストロゲンとプロゲストーゲン*併用)を投与します。飲み薬・貼り薬(パッチ)・塗り薬などいろいろなタイプがあります。詳細についてはあらためてコラムでご紹介する予定です。
  • 漢方療法:保険診療
    特に漢方は更年期との相性抜群です。漢方は一剤でいろいろな効果が期待できますし、移り変わる症状にも対応できます。近年の漢方薬は飲みやすいエキス製剤(保険対応)がほとんどです。
  • 各種お薬の処方:保険診療
    精神的な症状をとりのぞくお薬や、血液検査の結果から必要と思われるお薬を処方します。強い向精神薬はなるべく減らすのが当院の方針です。
  • プラセンタ療法:保険診療(45〜59歳)
    胎盤成分の摂取で自然治癒力や免疫力を高めます。皮下注射が一般的です。美容にも効果があるので保険適応が終了後も続けられる方が多いです。

*プロゲストーゲン:プロゲステロン(P4)の働きをするお薬

自分にあった方法を根気よく探すのが大切

更年期障害治療を困難にするのはその多彩な症状です。同時多発的に現れ、刻々と移り変わる場合も多く「不定愁訴」で片付けられてしまうことも少なくありません。
全体を把握しながらも一つ一つの症状を丁寧にクリアしてくためには、治療法は全て患者様に合わせてオーダーメイドするしかないのです。

当院ではメノポーズ・カウンセラーも同席し、上図の3つ方法を組み合わせつつご希望があればサプリメントやビタミン点滴、アロマテラピーなど保険外の治療もご提案しています。

更年期女性の胸の内

アラフィフ・ストレス

第一線で働く女性にとって、悲しいことに更年期は社会的に重要なポストにある人生のピークと見事に重なります。男性の何倍も努力しコツコツと実績を積み上げてやっと確立した立場なのに、更年期ごときに足をすくわれてはたまったものではありません。
しかも、家庭においては、子供が社会への入口に立つ重要な時期にともすれば親の介護が重なり、尋常でないストレスが更年期の症状に拍車をかけます。途方にくれ、訳もなく涙が止まらなくなる…。
そんな時ある日電車の窓に映った自分を見て、その老け込んだ顔に愕然とする。気持ちの落ち込みはもう留まるところを知りません。

ともすると心療内科を訪れたくなるかもしれませんが、まずは更年期外来のある婦人科でホルモン検査をしてみることをおすすめします。いきなり向精神薬の服用から始めたためにそこから抜け出せずに遠回りしてしまわれる方もおられるからです。
更年期に気づき、知り、理解することが大切!
大丈夫です。出口の無い更年期はありません。あなたに合った解決方法は必ず見つかります。

更年期の症状を増幅してくれる日本社会

日本社会は更年期の女性にはとても冷たいです。(女性に冷たいのは更年期に限ったことではありませんが。)更年期はなんとなくみっともなく惨めなこと、職場にいると迷惑なもの、でも口に出すのはははばかられるという風潮が未だに蔓延しています。
コラーゲンやプラセンタのようにメノポーズとカタカナで呼んでもらえれば多少はイメージも良くなりそうですが、英語の知名度は相変わらず低いままで全く根付く様子を見せません。
もう少し社会が理解を示し、せめて女性同士で情報を交換し合えれば更年期やHRTに関する知識も広がって救われる女性も多いだろうにと歯がゆい思いです。

この記事をここまで読んでくださった方や経験者の方は、同じように苦しむ同僚や後輩を見たらどうか相談に乗ってさし上げてください。
今はまだお若く「お局様」への陰口を楽しんでいるお嬢様方、あなたもいずれは通る道です。そのことをゆめゆめお忘れなきよう。そして、来るべき日のためにどうかメノポーズをオープンに語れる地ならしをしていただければと思います。

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